知ってるようで知らないノロウイルス

名前は誰しも耳にするノロウイルス。
でも、ノロウイルスって具体的に何かと言われてこたえられますか?
そんな意外と知ってるようで知らないノロウィルスの知識を紹介します

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  • 意外にも深い歴史があるノロウイルス。。。

  • ノロウイルスには歴史があるんです。

     

    ①1968年、アメリカ合衆国オハイオ州ノーウォークの小学校において集団発生した急性胃腸炎患者の糞便から初めて検出されました。地名にちなみ「ノーウォークウイルス (Norwalk virus)」と命名されます。

    ②1972年に電子顕微鏡による観察でその形態が明らかになり、ウイルス粒子の形態的特徴から英語でSmall Round-Structured Virus(SRSV:小型球形ウイルス)と命名されました。その後、このウイルスによる胃腸炎・食中毒が世界各地で報告されようになります。

    ③1977年、日本・北海道札幌市で幼児に集団発生した胃腸炎からノーウォークウイルスとよく似た小型球形ウイルスが病原体として発見され、「サッポロウイルス (Sapporo virus)」と名付けられました。

    ④1990年、SRSVの全塩基配列が報告された。これによりPCR法による遺伝子検査等をすることで、同一性検定が可能となりました。

    ⑤1992年、3月末から5月にかけて、関東地方でも10~30代でサッポロウイルス感染が多発します。

    ⑥2002年、第12回国際ウイルス学会(パリ)小委員会において、“Norwalk”のNorと“Sapporo”のSap、これにウイルスの属名の接尾語である"virus"を、ラテン語文法に従って連結形"o"で連結したものを学名として採用し、それまで「ノーウォーク様ウイルス属」と呼ばれていたものを「ノロウイルス属 (Norovirus)」、「サッポロ様ウイルス属」と呼ばれたものを「サポウイルス属 (Sapovirus)」と呼ぶことを承認しました。

    ⑦2011年、札幌で開かれた国際微生物学連合2011会議において、「『ノロ(NORO)』姓の子供たちがいじめやからかいを受けるおそれがある」という国際ウイルス分類委員会への指摘に対し、同委員会は「ノロウイルス」名称について各国の専門家たちと深く議論を行い、「ノロウイルスというのは属名であって、そのようなウイルス種名は存在しない。ゆえに正しい呼称(種名であるノーウォークウイルス)を使用すべきである。またノーウォークウイルスに起因する病気の発生に対して『ノロウイルス』という用語を使用しないよう、メディア、医療/保健の各機関、科学者団体に強く求める」という趣旨のプレスリリースを発表しました。また同内容を同委員会公式ホームページ会報上にも発表しています。

  • そもそもノロウイルスって、どんなウイルスかもっとわかりやすく教えて!!

  • ノロウイルスって、どんなウイルス??

     

    ノロウイルス(Norovirus)は、非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一属です。

    カキなどの貝類の摂食による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や吐瀉物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染します。

    ノロウイルス属による集団感染は世界各地の学校や養護施設などで散発的に発生している。「NV」や「NoV」と略される。

  • ノロウイルスが、どんなものかわかったけど、具体的な特徴とかあるの??

  • ノロウイルスの特徴って??

     

    ノロウイルスは約7,500塩基を持つ、プラス鎖の一本鎖RNAウイルスに分類されるエンベロープを持たないウイルスの属名です。

    ウイルス粒子は直径 30-38nmの正二十面体であり、ウイルスの中では小さい部類に属しています。

    ウイルス粒子の表面に32個のカップ状の窪みが見られることから、ラテン語で「杯」を意味するcalixにちなみカリシウイルス科 (Caliciviridae) に分類されました。

    2007年現在、カリシウイルス科には5属のウイルスが含まれるが、そのうちヒトの疾患に関係するものはこのノロウイルス属とサポウイルス属の2属です。

    2012年には最新のノロウイルスサイエンティフィックコミッティー推奨遺伝子型(genotype法)とその表記方法が公開される予定です。

    ゲノムには「非構造蛋白質」「構造蛋白質1 (VP1)」「構造蛋白質2 (VP2)」の3つの蛋白質コード領域が存在し、VP1領域の遺伝子型の分類では36種以上に分けられており、近年流行の主流となっているウイルスは、VP1領域の遺伝子型によってGII NTとGII/4に分類されるウイルスです。

    通常、ウイルスについての詳細な研究を行うには適切な動物培養細胞を探して感染させ、ウイルスを増殖させることが必要であるが、ノロウイルス属については実験室的に増殖させる方法がまだ見つかっていません。

    このため、検査や治療方法に対する研究が他のウイルスと比べて格段に遅れているのが現状です。

    乾燥した状態でも、4℃では8週間程度、20℃で3~4週間生存するとされています。

  • ノロウイルスは、どういった経路で感染するの??

  • ノロウイルスの感染経路って??

     

    ノロウイルス属(ノーウォークウイルス種)による感染症は経口感染が原因で、その感染経路から以下に大別できます。

    ①飲食物からの感染(感染型食中毒)
     a. 食中毒:ウイルスを蓄積した食材およびウイルスで汚染された食品を喫食して感染。
     b. 水系感染:水道水、井戸水などがウイルスで汚染され、その水を飲み感染。

    ②ヒトからヒト
     c. 感染者の糞便や吐瀉物から便器や手指を介して感染。(ドアのノブなどからもウイルスが発見される事例があります)
     d. 感染者の糞便や吐瀉物に排出されたウイルスが付着し、飛散した飛沫から空気感染。(飛沫
    感染或いは塵埃感染とも呼ばれます)
     e. 感染者が十分に手を洗わず調理した食品を食べ感染。(エタノールや逆性石鹸に対する抵抗性があり、水道水に含まれる塩素にもある程度の耐性を持っているため、洗浄が不十分になりやすい)

    販売あるいは調理提供する食品そのものの衛生管理の(食品衛生学的な)立場からは『飲食物からの感染』のケースが、院内感染などの感染管理の立場からは『ヒトからヒト』のケースが特に問題とされるが、症状や経過には感染経路による違いはありません。
    国立感染症研究所の病原微生物検査情報(2006/2007年の統計)の集団感染事例の集計によると、原因食品が明確ではないケースが約6割を占めており、汚染食品の摂食よりはるかに多い原因となっています。

    ノロウイルス属(ノーウォークウイルス種)は、衣服や寝具、家庭用品、家具などの表面で数週間生存することができる。感染経路の遮断には手洗いや器具の洗浄が必須である、またアルコール(75%エタノール)では不活化されません。

  • ノロウイルスになったら、どんな症状がでるの??

  • ノロウイルスって、どんな症状なの??

     

    主な症状は、嘔吐・下痢・発熱で、症状には個人差があるが、主な症状は突発的な激しい吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、悪寒、38℃程度の発熱で、嘔吐の数時間前から胃に膨満感やもたれを感じる場合もあります。

    これらの症状は通常、1、2日で治癒し、後遺症が残ることもありません。ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くことがあり、死亡した例(吐瀉物を喉に詰まらせることによる窒息、誤嚥性肺炎による死亡転帰)も報告されています。

    また感染しても発症しないまま終わる場合(不顕性感染)や風邪症候群と同様の症状が現れるのみの場合もあります。

    一般に「嘔吐、下痢、腹痛を伴う風邪」という表現があるが、それらが実はノロウイルス属(ノーウォークウイルス種)による感染症の可能性も低くはなく(エンテロウイルス等の他の原因もある)、単なる風邪ではない場合もあります。

    これらの人でもウイルスによる感染は成立しており、糞便中にはウイルス粒子が排出されているため、注意が必要です。

  • ノロウイルスは、どうやったら予防できるの??

  • 具体的な予防法って??

     

    一番の感染経路は、飲食物からの感染が最も多いです。
    これを考慮すると、飲食物を扱う人が十分な衛生管理を行うことが効果的な感染予防につながります。

    ワクチンによる感染予防は、2010年現在ノロウイルス属(ノーウォークウイルス種)に対する有効なワクチンが開発されていないため期待できません。

    また、このウイルスに対する免疫は感染者でも1~2年で失われるといわれています。

    原因は免疫抗体価低下説やウイルスの遺伝型が変化するため抗原性が変化するなどの説があるが、まだ確証は得られていないからです。このためワクチンの開発には困難が予想されています。

    しかし、遺伝子型GI.1を標的とする経鼻型ワクチンが開発中で、18~50歳の98人を対象とした臨床試験によれば発症を半分近くに抑える効果が実証されています。

  • でも、もしノロウイルスに感染しちゃったらどうすればいいの??

  • 感染したら、どうやって治療するの??

     

    ノロウイルス属(ノーウォークウイルス種)に有効な抗ウイルス薬は存在しません。
    下痢がひどい場合には水分の損失を防ぐために輸液などを対症療法的に用いる場合があります。

    また止瀉薬(下痢止め)の使用については、ウイルスを体内にとどめることになるので用いるべきでないと言う専門家もいます。

    医師の指示がなく、仕事等の生活上でも特に必要でない場合は下痢止めの服用は避けるのが賢明だという説もあります。

    日本国厚生労働省は止瀉薬使用を望ましくないと記載しているが、ここまでに明言しているのは米国FDAとは対照的です。

    しかし、臨床の現場ではコンプロマイズドホスト(易感染宿主、免疫力の著しく低下した患者)の死因は重症下痢に起因する症例も散見されるため、重症例においては患者の電解質データなどを含め、止瀉薬の使用の是非は総合的に判断すべきです。

    ノロウイルス属(ノーウォークウイルス種)は主に小腸上皮細胞で増殖することはわかっていますが、止瀉薬は主に大腸に作用します。

    実験室レベルではまだウイルスの大腸細胞での増殖は成功していません。
    このため、止瀉薬が本当に大腸でのウイルスの生存を促すかは不明です。

    また、ウイルスの大腸での寿命に関するデータは得られていません。
    家庭においては、経口補水液またはスポーツドリンクを人肌に温めてから飲むことが推奨されています。
    これらが無い場合は0.9%の食塩水(100 mlに食塩0.9gを溶かしたもので、いわゆる生理食塩水である)を調製し、人肌に温めて飲むことが推奨されます。
    電解質を含まない湯冷まし、お茶などは水分の吸収が遅いので推奨できません。