血液の癌 悪性リンパ腫の症状と原因をさぐってまとめてみた。

「血液のがん」とも言われる悪性リンパ腫。
初期症状は全身のだるさや微熱などのちょっとしたものばかりです。

  • wolf 更新日:2013/09/19

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  • 悪性リンパ腫の原因

  • 悪性リンパ腫という聞き慣れない病名ですが、症状は、全身のだるさや微熱、リンパ節の腫れなど一般的なものです。
    「血液のがん」とも言われる悪性リンパ腫。がんのことを悪性腫瘍と言いますが、「悪性」というのは細胞などが規律を持たずに無秩序に増え続けることを言います。

    人間の体には、主に免疫の働きに関与する「リンパ系」組織があり、このリンパ系が本来の規律を守らずに無秩序に増え続けてしまう疾患が悪性リンパ腫です。
    悪性リンパ腫が起きる原因は完全には解明されていませんが、一部ウイルスによる感染をきっかけに発症するものがあるため、血液検査をすることがあります。

  • 良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

  • 悪性リンパ腫の症状・初期症状

  • ■悪性リンパ腫の主な症状は以下の通りです。

    発熱……37℃前後の微熱が続く
    全身倦怠感……なんとなく体がだるい。疲れがとれない
    貧血……立ちくらみやふらつきが見られる。血液検査で指摘される
    体重減少……ダイエットをしているわけでもないのに、半年で5kg、もしくは5%以上体重が減る
    著しい寝汗…寝間着を着替える必要があるような寝汗が続く
    皮膚の下のしこり…皮膚の下に弾性のあるできものができる
    しこりは首や腋の下、足の付け根など、体表に近いリンパ節が腫れてできます。これらのしこりで、初めて異常に気づくこともあります。

  • 他のがんとの大きな違いは、特徴的な症状が少ないこと。例えば、胃がんの場合は食欲不振や上腹部の痛み、肺がんの場合は咳や血痰などの特徴的な症状があります。悪性リンパ腫の場合は、症状のほとんどが発熱や倦怠感などのよくある症状。何となく体調がすぐれないと病院を受診し、検査を進めるうちに悪性リンパ腫とわかるケースも少なくありません。

  • 悪性リンパ腫は血液内科で診断

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    悪性リンパ腫の症状は、上記のように普通の風邪でも当てはまるものがほとんど。微熱や体のだるさが続き、首や足の付け根にぐりぐりしたものがあるなど、気になる症状があったら、まずは近くの内科を受診しましょう。

    悪性リンパ腫が疑われ、専門的な検査や治療を受ける必要があると判断されたら、大きな病院の「血液内科」「血液腫瘍内科」を受診してください。

  • 医学的に「癌」と「がん」は違う

  • 補足になりますが、悪性リンパ腫は、別名「血液のがん」とも呼ばれます。しかし「血液の癌」とは書きません。

    少し専門的な解説をすると、医学用語では「がん」と「癌」を区別しています。胃の粘膜や気管支の粘膜にできる、上皮由来の悪性腫瘍は「癌」。胃がんや肺がんなど、一般に私たちが「がん」として考えているものの多くは、厳密に書けば「胃癌」「肺癌」といった風に感じの「癌」を用います。

    一方、悪性リンパ腫を始めとする白血病や骨肉腫など、上皮以外にできる悪性腫瘍は正式には「癌」とは書きません。ただ、病気の性質としては「癌」と同様に考えるので、これらの悪性腫瘍を総称してひらがなの「がん」と表現します。悪性リンパ腫を「血液のがん」と表記するのは、こういった理由によります。

    日本各地に「がんセンター」と呼ばれる病院がありますが、当然ながら上皮以外の悪性腫瘍の治療も行うので、「癌センター」と書かないのでしょう。

  • 悪性リンパ腫の検査

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    悪性リンパ腫も他の「がん」と同様、本体の病巣に対する検査と全身への広がりをチェックする検査を行います。

    本体の病巣に対しては、腫れているリンパ節を局所麻酔による手術で摘出し、顕微鏡で細胞を観察する「リンパ節生検」と呼ばれる検査を行います。

    全身の広がりに対しては、CT、MRI、放射性同位元素というものを用いたシンチグラフィと呼ばれる検査やPETなどを行います。悪性リンパ腫はウイルスによる感染がきっかけで発症するものもあるので、血液検査でもチェックを行います。

    これらの検査を行い病気の性質や進行度をチェックした上で、治療方針を決定します。

  • 悪性リンパ腫の治療には、がんの「3大療法」があてはまらない

  • 通常の悪性腫瘍は、手術・抗がん剤・放射線の「3大療法」を組み合わせて治療します(3大療法については、以下の「3大療法のポイント」のリンクにて解説)。
    基本的には腫瘍が小さいときや腫瘍ができている部位が限られているときには手術が有効で、もともと腫瘍ができている箇所から血液やリンパ液の流れを介してがん細胞が全身に広がっている可能性があるときには、抗がん剤や放射線が有効です。

    しかし、悪性リンパ腫は、もともとが全身を巡っているリンパ組織の悪性腫瘍であり、一部の臓器に限定される時期がありません。そのため、治療のために手術でどこかを切除するという選択肢は基本的にないのです(ただし、病理組織の確認のために腫脹したリンパ節を切除・摘出する場合や、消化管の閉塞症状を改善するために一部を切除することはあります)。同じく全身に放射線を使い続けることもできないため、3大療法の中でも「手術」「放射腺」という大きな選択肢が使えないことも悪性リンパ腫の治療の特徴です。

  • 悪性リンパ腫の検査・治療

  • 悪性リンパ腫の生存率

  • 悪性リンパ腫は、いくつかの病型で治療効果の高い方法が見つけられ、その生存率は他のがんと比較して高くなっているのです。

    がんは治療を始めてから5年再発が認められなければ、治癒したとみなされます。

    がん治療の成果を示す数値の目安として、5年生存率は様々ながんにおいて採用されています。

    悪性リンパ腫は、がん細胞が増える速さにより低悪性度、中悪性度、高悪性度に分類し、さらに進行度によって「ステージ(病期)」を判定します。

    治療の成果や5年生存率は、病期によって異なります。

    悪性リンパ腫の病期ごとの5年生存率は、ホジキンリンパ腫の場合、Ⅰ期90%、Ⅱ期80~90%、Ⅲa期65%~90%、Ⅲb期50%~80%、他臓器に転移がみられるⅣ期でも40~65%と高くなっています。

    一方、非ホジキンリンパ腫は、低悪性度だと早い段階での発見率が低く、見つかった時には進行期であることが大半です。

    5年生存率は、低悪性度のⅠ期、Ⅱ期で70~90%、Ⅲ期、Ⅳ期では50%~70%とホジキンリンパ腫よりも低くなり、中等度、高悪性度になると、Ⅰ期、Ⅱ期で70~90%、Ⅲ期、Ⅳ期に至っては40~50%となっています。

    悪性リンパ腫には、低悪性度はゆっくりと進行するものの抗がん剤の効果が出にくく、月ベースで進行する中悪性度、週ベースで進行する高悪性度は抗がん剤の効果が現れやすいという特徴があります。

    抗がん剤などを用いての化学療法が、悪性リンパ腫に効果的であることは世界的にも認められています。

    緩解率は全体で90%、5年生存率も40~50%となっており、ステージが進行していなけい状態であるほど高い治療効果が出ています。
    出典 :悪性リンパ腫の生存率
  • 悪性リンパ腫の治療目的は「完全寛解」

  • 一般的ながんの場合、治療の目標は腫瘍がある部分の完全切除。早期発見・早期治療で腫瘍が小さいうちにしっかりと切除する、「絶対的治癒切除」を目指します。

    悪性リンパ腫の場合は切除という選択肢がなく、最初に発見された状態ですでに体の一部だけに留まっている状態ではないため、通常のがんと同じ治療目標を持つことはできません。悪性リンパ腫の治療では、抗がん剤や放射線治療、造血幹細胞移植など様々な治療によって、体の中から悪性細胞をなくしてしまうことを最終目的とします。

    がんの色々な症状や血液検査数値の乱れ、CTなどの画像診断の異常が収まることを「寛解(かんかい)」と呼びますが、悪性リンパ腫治療で目指すのは寛解状態に入ったあと、再発がない状態がずっと続く、「完全寛解」という状態です。この10年あまりの間に悪性リンパ腫の治療に関しても治療法は大きく進歩しています。

    悪性リンパ腫は比較的まれな疾患ですが、早期発見・早期治療が重要なことは他のがんと同じ。もし気になる症状があれば、早めに近くの内科を受診してください。